インタビュー

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お子さま・親御さまが少しでも不安を和らげられるクリニックを目指しています。些細なことでもしっかりとサポートします。

日々の診療で大切にしていることは、「頭のてっぺんから足の先まですべて診ること」と言う南野悟先生。そんな南野先生に、医師を志したきっかけ、医師としてのやりがい、今後の展望などをお伺いしました。

医師を志されたきっかけは何でしょうか?

もともとは、小さいころから生き物が好きで、生物学や動物に関することがしたかったので、高校の生物教師もいいかなと思っていました。理科室にこもって実験して、変わり者だけど研究者としてはそこそこ有能という感じにあこがれていたんです。

一方で、医者も人間学としては面白いと思ったんですよ。医学というのは科学でありながら、科学でない。もちろん基礎研究などの学問の分野もありますが、実際に人を診る医者というのは、人との関わりのなかでやっていくものですので。あと、高校時代、本をいろいろと読んだなかで、医師である北杜夫さんの小説やエッセイが面白いなと思っていたので、そういう影響もあったかもしれませんね。

小児科を専門にされた理由は?

小児科医師は探偵みたいなイメージがあって、子どもは自分の症状を上手に説明できませんから、いろいろと観察して診ていくなかでひも解いていく必要があります。それが魅力的でした。

また、実は高校時代から子どもの病気をキャッチできる医者になりたいと思っていたんです。高校1年のときに読んだJ.D.サリンジャーの『ライ麦畑でつかまえて』という小説で、主人公が最後に「何になりたいの?」と聞かれると、「ライ麦畑でサッカーをしている子どもたちが、夢中になって崖から落ちそうになったときにつかまえてあげられるキャッチャーみたいになりたい。自分が崖に立って助けたい」と言うんです。だから私も、子どもは元気に遊びに夢中になって、もし怪我したり足をくじいたりしたら、ここへ来れば診てあげるよと、そういう医者になりたいと思ったのです。

日々の診療で心がけていることはありますか?

昔、大学病院で指導医から言われたことなのですが、「頭のてっぺんから足の先まですべて診る」ということですね。それで、今はベッドに横になってもらってお腹を触るようにしています。勤務医だったころは、1年に1度くらいの割合でお腹を触って腫瘍が見つかることがありました。だから、たとえ指にとげが刺さって来た場合でもお腹は触ります。何かあれば、早くみつけられますから。

また、診察のときは耳も診ます。風邪から中耳炎になることがありますし、それを知らずにそのまま放置しておくと液がたまって滲出性中耳炎になり、難聴になる可能性もあります。ですから、虫さされで来た子でも耳は診ますし、横になってもらってお腹も診ます。

医師としてのやりがいは、どんなところに感じますか?

小児科医師になってよかったなと思うのは、子どもに信用してもらえたときですね。小児科というのは普通、親御さまが無理矢理にでも子どもを連れてくるところですが、ある親御さまから「子どもがどうしても連れていってほしいと言うから連れてきました」と言われたことがあるんです。それを聞いて、「ああ、この子は前にここに来てラクになった経験があるんだな。それで来たいって言ったんだな」と思いました。

また、子どもが診察室で泣くのは、医者を見て「この人、あやしい」と思っているからなので、あやしい人ではないとわかれば、ぴたっと泣きやみます。たとえ注射でも泣かなくなることがあります。子どもは素直なので信じたら疑わないところがあるんですね。そういうふうに子どもに心を開いてもらえるとうれしいですね。

今後の展望をお聞かせください。

「あの小児科へ行ったら心配ない」というようなクリニックを目指していきたいです。そして、悪くなったから行くのではなく、悪くなる前に来てもらえるような場所にできたらなと思っています。『ライ麦畑でつかまえて』の主人公が崖に落ちる前に子どもをつかまえたいと言ったように、本当に悪くなる前に来ていただいて、悪いところをキャッチする役割を果たせたらと思います。

また、小児科で扱う病気というのは、自然によくなっていくものがほとんどですから、小児科医師にできるのは、親御さまをはげますことだけと思っています。子育てはしんどいこともたくさんあると思いますから、子どもの病気や症状に関して、できるだけ親御さまがラクになれるように力になっていきたいですね。